STORY
2017.08.25

本当においしいコーヒーの楽しみ方

朝いちばんに、おいしいコーヒーを淹れる。川島良彰の新しい一日は、一杯のおいしいコーヒーからはじまる。本当においしいコーヒーを徹底的に追及し、すべてを捧げてきたコーヒーハンター 川島のおいしいコーヒーの楽しみ方。

ワインには産地や銘柄、ブドウの品種や収穫年度ごとに品質や味を見極め、品質に応じた対価を支払う市場があります。自宅で飲むワインはコストパフォーマンスのよいものを選び、特別な日や贈り物には、それに相応しいワインを選びます。

コーヒーもワイン同様フルーツから作られる奥深い飲み物なのですから、日々の生活に潤いを与え、特別な日に華を添えるとっておきの一杯があって然るべきだと、私は折に触れ繰り返してきました。特別な日に奮発して最高級のコーヒーを購入する日があってもいいし、大切な人と特別な一杯を味わう日があってもいいだろう。そんな想いで、ベスト・オブ・ベストの品質を追い求め、たとえ高価でも本当においしいGrand Cru Caféを作りました。


ただ、特別な日とは、何かの記念日やお祝い事など、ハレの日とは限らない。とっておきの一杯を味わう日も、場面も人それぞれだということです。
GRAND CRU CAFÉ GINZAのオープン当日にやってきた青年のように、オープン翌日、会社帰りに寄ってくれた若い女性のように、何気ない日常のひとこまに一人静かに味わうコーヒーとして、Grand Cru Caféを選んでくれたら、こんなに嬉しいことはありません。何かを決意した日に飲む、自分を奮い立たせる一杯。理不尽な思いをした日、波立つ気持ちを鎮めるために飲む一杯。大切な人を失ったとき、人生の岐路に立たされたとき、失意のどん底に陥ってしまったとき、一杯のコーヒーが背中を押してくれる。コーヒーの香りに慰められ、コーヒーのおいしさに救われる。

喜びを分かち合い、しあわせを噛みしめるときに味わうだけではなく、誰かの悲しみや苦しみをやわらげる希望の一杯に、また、一人自分と向き合うときに飲む安らぎの一杯に、Grand Cru CaféをはじめとするPremier Cru Café、 COFFEE HUNTERSなど、ミカフェートのコーヒーがなれたなら、この上なくしあわせです。


ミカフェートが展開するブランドの頂点、「Grand Cru Café」は、優良農園の中でも最も栽培環境に恵まれた特級畑を選び、厳格な品質基準に沿って厳選されたコーヒーです。大変基準が厳しいため、Grand Cru Caféとして出荷されるコーヒーは、優良農園の中でもごく僅かです。
Premier Cru Caféは、優良農園の中の一級畑を選び、厳格な品質基準をクリアした高品質のコーヒーです。Grand Cru Café同様、とっておきのシーンで味わっていただける逸品として、自信を持ってお薦めしています。
COFFEE HUNTERSは、私が旅を通して出会った志の高い生産者や、市場に紹介されていない珍しい品種や独自の栽培・精選方法で品質を高めている農園のコーヒーです。日々の暮らしに潤いを与えてくれる一杯として、日常のさまざまなシーンでお楽しみください。 Café Puente は、COFFEE HUNTERSシリーズを中心に、一杯ずつ抽出できるドリップバッグです。オフィスや忙しい朝のコーヒータイムに、手軽に楽しんでいただけます。

コーヒーはフルーツからできている

コーヒーは工業製品ではなく農産物です。ワイン同様フルーツからできていることを認識している人は、どれくらいいるのでしょうか。
コーヒーは、畑に苗を植えて2~3年ほどで真っ白な花を咲かせ、花弁が落ちた後に小さな青い実がなり、半年以上かけて熟していきます。この赤い実がコーヒーチェリーで、収穫のタイミングは品質に大きな影響をおよぼします。一番おいしいコーヒーは収穫のピークに熟したコーヒーチェリー。熟練の積み手たちにより、一粒一粒選び抜かれた完熟豆のみが摘み取られます。
「初摘みコーヒーならではの若々しい香りと上品な酸味、コクが味わえる」と銘打った商品もありますが、私は初摘みコーヒーを買い付けることはありません。なぜなら、コーヒーの花は一斉に咲くわけではなく、何回かに分かれて開花していきます。生産者がもっとも手を掛けるのは、たくさん獲れるピークの開花で生まれたコーヒーチェリーのみ。開花のピークに合わせて肥料を撒き、病害虫から守っていきます。

コーヒーは生豆が命!

コーヒーはフルーツですから完熟豆を摘めばおいしくなります。これは低地でも高地でも、どのグレードのコーヒーでも同じこと。
また、コーヒーは焙煎が命であるかのような情報が巷に溢れていますが、経時変化した生豆や品質の悪い生豆は、どんな技術を以てしても、おいしいコーヒーにはなりません。 コーヒーは、本来、酸味を味わうもの。焙煎や抽出技術は、あくまでもコーヒーのおいしさを支えてくれるもので、素材である生豆が持っている品質以上のものを作り出すことはできません。

さらには、通常コーヒー豆は麻袋に入れ、常温コンテナで一ヵ月以上かけて海上輸送されています。しかし、これでは、どんなに品質がよい生豆でも劣化してしまいます。ミカフェートでは、特殊なプラスティック袋に生豆を入れ、Grand Cru Caféは空輸、そのほかのコーヒーは、リーファーと呼ばれる温度管理ができる定温コンテナで輸入しています。 コーヒーがフルーツであることを肝に銘じて、生産者が手塩にかけて作ったコーヒーを最高の状態で消費者に届けたいというプロ意識があれば、全ての工程に責任を持つのは、コーヒー屋として当然のことだと思っています。

生産地からはじまる物語

ワインは、フランス、イタリア、スペイン、ドイツ、ニュージーランド、オーストラリア、日本など、生産国と消費国が一致しています。しかし、コーヒーは異なります。中南米の生産者のほとんどは、品質のよいものは販売してしまい、本当においしいコーヒーを飲むことはできません。おいしいコーヒーを知らなければ、おいしいコーヒーを作ることはできない、というのにです。
私は、生産地を訪れるとき、必ず、彼らが作り、私が製品にしたコーヒーを土産として持参します。
「おいしい!」と言って飲んでくれるのも嬉しいのですが、自分たちが作ったコーヒーが消費国の人たちを楽しませている、支持されていると知ることは、彼らにとって誇らしいこと。コーヒー作りの励みになるからです。

ミカフェートは、商社を通さず、直接生産者や仲買人から輸入するダイレクトトレーディングにこだわっています。消費国では今どんなコーヒーが好まれているのか、どんな品質が求められているのかを、直接伝えることも、こちらからの要望に応える努力を農園側に課すことも、品質向上には欠かせないと判断しているからです。
コーヒー栽培のプロフェッショナルである以上、自分たちが出荷した豆の品質を把握しておくのは当然のこと。ミカフェートでは、各農園から買い付けたすべての生豆から、未成熟豆、虫食い豆などをより分け、収穫年度、畑ごとに欠陥豆が含まれていた割合をデータ化し、各農園にフィードバックしています。
これもまた、農園の意識向上には欠かせない要素。コーヒー生産者と消費者をつなぐ架け橋としての私の役目だと思っています。買い付けは商社や専門業者に任せっきり。これでは、本当においしいコーヒーを消費者に届けることはできません。
消費者と生産者は対等でなければならない。おいしいコーヒーを作る生産者がいて、それを正しく評価し購入する消費者がいる。十分なコミュニケーションが図られることで、信頼関係が築かれ、コーヒーを取り巻く好循環が生まれ、持続可能な発展につながっていきます。
タイやルワンダで技術指導をしているのも、彼らの生活が豊かになることを望むのも、すべては、生産地での経験が礎になっています。
タイ・ミャンマー・ラオスの国境をまたいだ通称ゴールデン・トライアングルと呼ばれる地帯は、貧しさ故、麻薬の栽培に頼らざるをえなかった地域です。少女の人身売買やエイズの温床にもなり、大きな問題になってきました。
ケシ(アヘンの原料)に変わるコーヒーやマカデミアナッツの栽培を促進し、少数民族の人たちを雇用し、生活水準の向上を図ってきたのが「ドイトゥン開発プロジェクト」。タイ王室メーファールアン財団からの要請を受け、コーヒーアドバイザーとしてこのプロジェクトに関わっています。
栽培や精選のアドバイスはもちろん、すぐに市場作りにも着手。作られたコーヒーは売れてこそ意味があり、生産を続けることが可能になるからです。賛同してくれた企業のブレンドコーヒーとして飲めるようになっています。

コーヒーに嘘は通用しない


コーヒーは、シンプルであるが故に嘘が通用しません。感性を研ぎ澄まし、ひたむきに取り組まなければいいものは作れません。コーヒーに向き合う姿勢はすべて、一杯のカップに味や香りとして表われます。
私たちミカフェートのコーヒーが、真のコーヒー愛飲家に支持されるようになったのは、コーヒーに対する真摯な気持ちが一杯のカップに表われているからだと自負しています。 すべてはコーヒーのために。
これからも真っ直ぐな気持ちでコーヒーに向き合っていきます。

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