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2023.12.29

José. 川島 良彰が語るコーヒー業界の現状とこれから

いつもミカフェートをご利用いただき、誠にありがとうございます。
今年も残すところあとわずかとなりました。今年最後のメールマガジンでは、特別号として、今年も多くのコーヒー生産地を巡ったJosé. 川島 良彰のインタビューを配信いたしました。そのインタビューの一部をお届けします。
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Q: 今年コーヒー生産地を巡った中でも特に印象的だったことはありますか?
特に印象的だったことは、ロシア・ ウクライナ戦争の影響でコーヒー畑に使用する肥料がとても値上がりしたことです。ロシアとウクライナは肥料を多く輸出している国なので影響が大きいです。特に小規模のコーヒー農園などは、生産コストが上がってもコーヒーの売価に転嫁しづらい状況があるため心配しています。
また、 世界的なコーヒーブームでこれまでマイナーだった生産国でも、ブームが起きていることが印象的です。これらのコーヒー新興国では、コーヒーの消費だけでなく栽培の勢いも伸びています。タイではローカルコーヒーの専門店が増え、台湾ではコーヒー生産者がかなり増えています。

Q: 生産地のローカルフードの中でも特においしかったものはありますか?
タイに行くと必ず立ち寄るお店の焼き鳥と、コロンビアのフラグア農園で農園主がご馳走してくれる「サンコチョ」は、定番で毎回とても楽しみにしています。
ラテンアメリカの郷土料理である「サンコチョ」は、肉や野菜を煮込んで作る主食になるスープ料理ですが、日本のシチューやコンソメスープとも全く異なる味わいです。味付けや具材は、各国さまざまで楽しめます。コロンビアの中でも、フラグア農園でご馳走になる「サンコチョ」が一番好きです!
また今年の6月に訪問したペルーで食べたタコ料理は、本当においしかったです。

Q: パンデミック前と後でコーヒーの生産現場に変化はありましたか?
パンデミックによって一時的に労働者の確保が難しくなりましたが、今も労働者不足が慢性的に続いています。パンデミック中も農業従事者には移動制限はありませんでした。しかし別の州や国からの労働者に収穫作業を頼っていた地域では、問題があったようです。
パンデミックには関係ありませんが、特にグアテマラ、ホンジュラスでは、治安の悪化によってアメリカへの難民が増えた影響で、コーヒー収穫に従事する労働者が減ってしまい深刻な問題になっています。また、労働者が減ったことでコーヒーの収穫量が減るだけでなく、収穫後に摘み残しや摘み落としたものを拾う作業が追いつかないため、翌年ベリーボーラー(コーヒーチェリーの中に侵入して種子を食べてしまう害虫)が発生するリスクがあり悪循環が起きてしまいます。生産現場ではさび病よりも労働者不足の方が深刻な問題です。

Q: 国内で提起されているコーヒーの「2050年問題」に関して、消費国側として認識するべきことを教えてください。
地球の温暖化がこのまま続くと、2050年にコーヒーの栽培適地が半減するというレポートが発表されて以降、国内では「2050年問題」についてメディアや大企業を中心に発信されるようになり、そのほとんどがさび病耐性品種の開発と国内産コーヒーの話題です。
地球の温暖化によって雨期と乾期のパターンが変わり、ハリケーンの多発化・大型化が懸念されていることは事実です。
しかしながら、「2050年問題」というキーワードを知らない生産者も多く、生産コストの上昇や労働者不足などで2030年まで農園が存続できるかわからないと回答している生産者もいるくらいです。
実際に農園主に今後懸念される問題を聞いたところ、生産コスト、労働者不足、後継者問題、気候変動の影響、国際相場の低迷などの回答がありましたが、「2050年問題」と回答した農園主はいませんでした。
前述のように日本国内では、さび病耐性品種開発が注目されています。160年前にさび病がこの世に生まれ、中南米に感染してから既に50年以上経ちました。生産者にとってコロナウイルスのような未知の病気ではありません。生産者はさび病と共存する方法を知っていますが、それにはお金がかかります。コーヒー樹も人間と同じで養分を与えることで、元気に成長します。また病に罹っても適切な治療をすれば生き延びます。問題は、現在のコーヒーの取引価格が50年前と変わっていないことです。仮に素晴らしいさび病耐性品種が開発され、苗を無償で配布されたとしても、どれだけの生産者が植え替える体力を持っているか大きな疑問です。
コーヒー消費国として、生産国の問題を正しく理解し、コーヒーの価値を上げ品質に見合った価格を支払い、生産者の立場に立った気候変動への適応支援が求められていることを認識してほしいです。また生産者は、責任を持って高品質のコーヒーを作り続けることが重要です。

Q: 日頃よりミカフェートを応援してくださっている皆さまへ一言お願いします!
パンデミックもようやく終わり、コーヒー生産国も消費国も徐々に回復してきています。
これからも皆さまに安全でおいしいコーヒーを提供できるように社員一同頑張ってまいります。
来年はコロンビアで頑張っている女性生産者のコーヒーを新たに紹介する予定ですので、楽しみにしてください!

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