2018.11.06

[対談] 煌めく旅を彩る香りを - THE ROYAL EXPRESS ×ミカフェート -

非日常を求めて

THE ROYAL EXPRESS
JR横浜駅から伊豆急下田駅を繋ぐロイヤルブルーの車両は、利用者に『旅そのもの』を提供する。
踏み込んだ瞬間に感じる設えの豪華さと、暖かく包み込むような安心感。
車窓から眺める景色や提供される四季折々のもてなしが、利用者に移動手段である事を忘れさせる。
そんな異空間観光とも言うべき煌めく旅を鮮やかに彩る一杯。
非日常の中で味わうコーヒーのおいしさを語らう。

対談:ザ・ロイヤルエクスプレス 料飲責任者 明神 麻美 様 × ミカフェート クオリティコントローラー 近藤洋介(以下、敬称略)

空と海に溶け込むような、ロイヤルブルーの車体

JR横浜駅から伊豆急下田駅まで。
三時間ほどの旅の中で体験する出来事は、新鮮さと伊豆の魅力に溢れていた。

明神:実際にご乗車されて、印象や乗り心地などはいかがですか?

近藤:外観の美しさもあるのですが、まず驚いたのは、車内に入った時に、豪華さ以上に暖かみを感じられた事です。どこか懐かしい香りがして。

明神:木の香りはすごくしたと思います。新築のような。

近藤:だからですね。ほっとするような心地良さが今も続いています。灯かりも柔らかくて、暖かい雰囲気の内装が外観のスマートさと対照的ですね。ドアをくぐった時から、まるで非日常であるかような感じを受けます。


豪華ながら暖みのある設えは、ここが列車の中である事を忘れさせる

明神:おっしゃっていただいた通り、THE ROYAL EXPRESSの車両は非日常を味わっていただく事を目的の一つとしています。列車は移動の手段として用いられる事が多いですが、この列車は特別な時間と空間を味わっていただき、乗る事自体が旅である、それ自体を目的にしていただく、という事をコンセプトとして作っております。

近藤:非日常というと、ミカフェートの旗艦店( GRAND CRU CAFÉ GINZA )にも通じる所があるように思います。GRAND CRU CAFÉ GINZA は、作りもそうですが、スタッフも日々そうであるよう心がけています。空間そのものを楽しむという考え方は共通しているのではないでしょうか。ミカフェートのコーヒーを選んでいただいたのは、やはりそういったコンセプトにおける共通点もあるのでしょうか。


明神:世界観もそうですし、コンセプトについてもそう思います。列車のデザインができる前、「観光列車を造る」ということだけが決まっているときに川島社長にお会いしました。そのときに近藤さんもいらっしゃって。具体的なお話をするつもりではなくお伺いして、コーヒーに対する熱い想いや、コーヒー業界の底上げをしたいといったことを聞かせていただいて、本当にすごい方だなと。気さくなお人柄なんですが、コーヒーに対する職人気質なところや、品質にこだわっているところ、一から自分の手で作り上げていくところが、私達がこの列車に求めているコンセプトと本当に一致すると感じました。私の上司がその場で「川島さんにコーヒーをお願いしたい」とお伝えしたときに、その場で「やりましょう」と即答していただいたことが、強く印象に残っています。

近藤:あの時点では料理監修者なども、まだ決まっていなかったように思います。

明神:そうですね。決める為にお声がけしたのはコーヒーが一番でした。列車のデザインも無かったので、私達が思い描いている事を言葉でしかお伝えできなかったのに、川島社長はやりましょうと言って下さって。


近藤:その時の事はよく覚えています。コーヒーは、役割として大きく捉えていらっしゃったのですか?

明神:はい。お会いしたのが2016年の3月で、その頃はもう日本でコーヒーがブームになっていた頃でした。誰でも比較的おいしいコーヒーが飲めるという状況になりつつありました。

近藤:コンビニコーヒーなどですね。高級レストランなどでもまだまだ『コーヒーであれば何でもいい』というところも多いなかで、徐々に変わってきてはいるのではないかなと思います。

明神:私達は食事を提供する立場としてコーヒーの重要性を大きく捉えていたので、特にこだわりたいと思っていた部分でした。そこで川島社長のお話を聞いて、誰もやっていないことを自分がやらなければというコーヒーに対する使命感をお持ちだったことに感銘を受けました。また、私達は横浜と下田を結ぶ列車なので、静岡県や伊豆にこだわりたかったのですが、川島社長が静岡県出身ということで、伊豆のために力になれるのならばということを仰っていただいたのも、とても大きいです。

地元静岡の品質の高い食材をふんだんに使用したコース料理も楽しみの一つ。

近藤:まだ、どのようなコーヒーにするかも決まっていなかったのですよね。

明神:そうですね。具体的にこういうコーヒーがいいとは決めておらず、こだわりを持たれている所にお任せしたいという思いがありました。

近藤:最初はまだ、オリジナルブレンドという話はなかったと思います。複数の銘柄を飲んでいただいて。味に関しては安心していただけたかと思うのですが、いかがでしょうか。

明神:最初いただいたときは、本当に驚きました!私の知っているコーヒーではなかったので。シャンパンボトルの話も伺って、びっくりしてしまって。

近藤: Premier Cru Café は確実に飲んでいただいていますし、色々なグレードのコーヒーを飲んでいただいたかと思います。最終的に選んでいただいたのが、プラチナクラスで提供される Premier Cru Café のみを使ったブレンド、ゴールドクラスの COFFEE HUNTERS と Premier Cru Café のブレンドでした。

明神:ここにあるシャンパンボトル入りのコーヒーが、プラチナクラスで提供されている Premier Cru Café のブレンドですね。


近藤:これはグアテマラ産のPremier Cru Caféの2銘柄をブレンドしています。

明神:オリジナルを作ってほしいということはお願いしていたんですけれども、車両もまだできあがっていなくて、料理監修者やどんな料理かも決まっていなかったので、ちょっと時間が空いてしまいました。

近藤:2つのクラスの席を作るということは聞いていました。クラスの違いをコーヒーにも反映してほしい、すべきだということをお伝えしたように思います。

明神:はい、品質と価格をしっかりと反映させることが大事だとおっしゃっていましたね。

近藤:そうですね。品質のピラミッドを産地だけで終わらせるのではなく、品質に合った価格、価格に合った品質を表現していただきたかったのです。

近藤:その間に、THE ROYAL EXPRESSのコンセプトが『美しさ、煌めく 旅。』だということを聞いて、車両のイラストができあがってきて、イメージができてきて。おお!こんな素敵な列車ならばプラチナクラスはPremier Cru Caféだろうと。「煌めく」から『スパークする』を連想しました。口の中で弾けるようなキラキラしたコーヒーにしたいなと思いました。そして Premier Cru Café であれば、グアテマラ サン セバスティアン農園 パカマラのウォッシュとナチュラルしかないだろうと。この2つの銘柄は、同じ農園、同じ畑で採れたものです。品種も同じ。精選だけがウォッシュとナチュラルで異なる方法です。そのコーヒーを別々のものとして輸入し、プレミックスして焙煎しています。当然相性は良いわけで思っていた通りの味になりました。もともとパカマラ種というのは香りも味も強い品種ですが、グアテマラ サン セバスティアン農園のパカマラは密度が高く、味も凝縮されていて単品でももちろん美味しいです。それをミックスすることにより、より香りの層が厚く複雑な味わいになっていると思います。


明神:ワインでいうところのアタックというのか、最初のインパクトが強いですよね。びっくりしました。何これ!という感じでしたね。

近藤:私達ミカフェートは生産者に対して畑の指定はもちろん精選方法や選別のレベルまで細かく指定しています。同じ農園の同じ畑で採れたもの、同じ品種で精選過程だけが違うものをブレンドすることができるのは、ミカフェートの大きな特徴だと思います。ゴールドクラスで提供しているコーヒーは、COFFEE HUNTERS のサン ミゲルをベースにプラチナクラスで使用している Premier Cru Café パカマラ ナチュラルを加えたブレンドで、より甘み重視のコーヒーになっています。パカマラ ナチュラルはフルーティーなコーヒーなので、アクセントとしてお楽しみいただけていると思います。こちらもプラチナクラスのコーヒーに準じて、グアテマラの同じ生産者が作るコーヒー同士をブレンドしています。

明神:川島社長や近藤さんから聞いていた、コーヒーはフルーツだということにすごく納得しましたし、コーヒーは余韻を楽しむものなんだということも「あ、わかる」という感じで。冷めてからもおいしいというのも驚きでした。

近藤:このコーヒーも今くらいの温度帯で、より甘さがわかるじゃないですか。これは品質の高いコーヒーの特徴のひとつです。


明神:THE ROYAL EXPRESS では、移動している列車での抽出という事で『クレバー抽出』をご提案いただきました。

近藤:開業前の、まだ列車ができていないときに、電車なので揺れるということを当然考えるわけです。それでどの程度揺れるのかというのを、早い段階で知りたかったんですね。

明神:同じ形の列車に伊豆まで乗りにきていただいて、普通のお客様として乗車しているなか、川島社長とコーヒーを淹れたりして。

近藤:いろんな器具を持ち込んで、カップもいろいろ持って行きましたね。どの程度揺れるのかで、提供するサイズやどの程度入れたらいいのかなどを検証しました。一番最初はハンドドリップはどうかということを考えました。しかし相当難しい事がわかりました。列車に乗ってみて改めて思ったのは、横にかなり揺れるんですね。普通に立っているのも難しいなかで、ハンドドリップで淹れるというのは、実際にやってみて不可能でした。ミカフェートのコーヒーの一番の特徴はクリーンカップですから、それを表現したい。ではどうするかと考えたときに、クレバーならいけるのではないかと。


明神:クレバーでも、やはり難しい点はあるというお話でした。

近藤:はい。クレバーというのは、ドリッパーに似た形の抽出機器でコーヒーフィルターを使うんですね。コーヒーフィルターの上に粉を入れて熱湯を注いで、3分待ってから濾します。そうすると微粉が入らない。その分、味わいがクリアになります。利便性を考えてエスプレッソも、フレンチプレスも検討しました。最終的に決められた環境のなかで、最適なクリーンな味が出せるように、クレバーを選びました。

明神:複数のレシピを作っていただいて。

近藤:列車が動いているときと駅に停車しているときでは、同じ抽出の方法でもコーヒーの味が変わるんですよ。ですから、それぞれレシピを変えて対応していただいています。これはまさに THE ROYAL EXPRESS のクルーの皆さんの協力がなくてはできないことです。まもなく出発するときに淹れるレシピ、完全に止まっているときのレシピなど細かく決めて、守っていただいているというのは他に例がないと思います。特殊な環境に合わせて、できる事を徹底していただいています。

いくつかのポイントでは、短い時間ではあるが停車し、素晴らしい景観を楽しむ事ができる。

明神:最初はハンドドリップにこだわりたいというのがあったんですけど。クレバーをお教えいただいて、それならということで決めました。作っていただいたレシピも、温度から待ち時間まで、レシピを重視することはクルーに徹底してもらっています。それを守ることで誰でもほぼ均一のコーヒーを淹れる事ができ、提供できるという事で、そこは厳しく行っています。近藤さんに定期的に来ていただいて、直接教えていただいて。味の確認もしていただいています。

近藤:お客様からのフィードバックはいかがでしょうか。

明神:おいしいというお声をたくさんいただきますので、商品化もしておみやげでもご提供しています。デザートの時にコーヒーを頼まれる方が多く、飲んだ後に買って帰られる方もたくさんいらっしゃいます。6号車ではコーヒーを淹れているので、香りでご注文されるお客様も多いですね。

湯を注ぐだけで飲めるドリップバッグも、お土産で人気の商品。

近藤:この景色を観ながら飲むのは格別ですね。

明神:そこはお客様に一番提供したいものの一つですね。

近藤:落ち着きがあって居心地のいい空間で、窓を隔てて美しい景色を眺めながら。贅沢だけど、必要な事ですよね。

景色の他にも、ヴァイオリニストによる演奏が列車の旅に感動をもたらす。



乗る前と降りた後 CAFEを通して続く体験

横浜駅の『 THE ROYAL CAFE YOKOHAMA 』は、THE ROYAL EXPRESS のデザインやおもてなしの心はそのままに、気軽に立ち寄れるカフェとしてオープン。
列車で提供しているスイーツやドリンクも楽しめ、『 美しさに心が煌めく時間をお届けしたい 』という想いは変わらない。


明神:THE ROYAL CAFE YOKOHAMA は THE ROYAL EXPRESS の発着点である横浜駅にあるのですが、旅の始まりの集合場所でもあります。逆に下田からのお客様は最後に辿り着く場所です。そういった理由から、私達はCAFEも列車の一部と考えています。

近藤:THE ROYAL CAFE YOKOHAMA では、車両で提供しているブレンドとは異なり、しっかりとした味わいのものを提案しました。

明神:横浜から出発する場合は、まず一番最初に THE ROYAL CAFE YOKOHAMA でオリジナルブレンドを飲んでいただき、列車ではまた別のコーヒーを楽しんでいただいて、到着地点である下田の下田東急ホテルでもミカフェートさんのコーヒーが提供されているので、そこでも味の違いを楽しんでいただけます。

下田東急ホテル ラウンジ

近藤:THE ROYAL EXPRESS の旅を通して、どこでもおいしいコーヒーを楽しめますね。

明神:THE ROYAL EXPRESS の為にすばらしいブレンドを作っていただきましたが、ミカフェートさんにはまだまだ様々な国の色々なコーヒーの銘柄がありますから、そのようなコーヒーを提供するイベント企画などを今後も一緒にやっていけたらと思います。ミカフェートさんのコーヒーを多くの方に楽しんでいただく上で、私達も協力できればと思います。

近藤:非常に心強いです。今年の6月、下田のあじさい祭りに協力する形で、あじさいブレンドというものを提供させていただきました。

明神:下田公園でも、THE ROYAL EXPRESS の車内でも、横浜駅の THE ROYAL CAFE YOKOHAMA でも飲めるという企画を実施しました。


近藤:明神さんが筆頭になって、クルーの皆様が妥協無い形で提供していただける事はミカフェートにとっても非常に大きい事です。我々も間違いのない品質のものをお届けするとともに、THE ROYAL EXPRESS としかできない形でコーヒーの楽しさを伝えていきたいです。

明神:この車内で提供しているコーヒーは、どれもここでしか味わえないコーヒーですので、コーヒーを楽しみにご乗車していただければ私達もうれしいですね。ミカフェートさんはコーヒーに対する情熱あふれる会社なので、私達もそこに共感している者として、間違いのない品質を守っていきます。

近藤:コーヒーの可能性を広げ、いろんな方に幅広く楽しさを伝えていきたいですね。


(了)

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