家族が飲むため、特別に選ばれたセクション
カルロスとは、アメリカで行われたコーヒーの会議で知り合った。イタリア系パナマ人で根っから陽気なカルロスと、日系ラテン人と言われる僕は、その場で気が合いアミーゴスになった。しかし彼の農園を訪れる機会にはなかなか恵まれなかった。2006年12月、初めてパナマの産地を訪れた際、コーヒーの名産地として名高いボルカン村で数多くの農園を見たが、正直ピンと来なかった。生態系や古い品種を守っている農園が多数あり、品質的にも非常に良いものを作っているが、僕が目指すコーヒーを栽培している農園も、生産者にも巡り合えなかった。しかし最後に寄ったカルメン農園に着いた時、久々にゾクゾクする感触が蘇った。ここには、僕を待っているコーヒーの樹があったのだ。